コミック版『少女革命ウテナ/アドゥレセンス黙示録』感想:映画版よりわかりやすく描かれる、ふたりの革命と友情
昨日の記事で映画『アドゥレセンス黙示録』の感想を書きましたが、
そんなこんなですっかりウテナ祭り状態になってしまったわたくし…
とうとうコミック版にも手を出してしまいました。
映画との比較なんかも含めつつ、例によってつらつら雑感書きましたので、
読んでくださる方は「続きを読む」からどうぞ。
それにしても、表紙のエロスがすごいな… (通販で 良かった)
■ 映画版でむやみやたらとエロかったウテナとアンシーの絡みですが、漫画版でも健在です(笑)
『ウテナ』を制作したビーパパスの一員であり、漫画担当者のさいとうちほ女史は、もともとこういうエロ要素の入った少女漫画を描くことにかけてはかなりの手練れでありますが(『花冠のマドンナ』とか割と好きだった…)、この『ウテナ』に関しても、さすが、という感じ。
アンシーの艶のある表情がいかにも「魔女」っぽくて、なんだかドキドキしてしまいました。
■ストーリーは大体映画版と同じなんですが、細かいところが分かりやすくなっています。
あの学園世界がアンシーによって作られたものであり、現実とは別世界であることが、きちっと明言されていたり。だからこそ、死んだはずの冬芽が存在できるのだ、という理由づけがされていたり。
ウテナがアンシーの「王子さま」になることを拒んだ理由が、「ボクは君の主人になりたいわけじゃない/友達になりたいんだ」という言葉で表されていたのも、いい感じでした。
■ていうか、そうだ、テレビ版では暁生×ウテナだったけど、アドゥレセンス黙示録では冬芽×ウテナがメインなんですよ!
わたくし、暁生×ウテナがとても好きで、テレビ版でこの2人が出てくるたびにウキウキしていたのですが、同時に、その影でウテナに報われない想いを寄せていた冬芽にも ちょっともきもきしたりしてたので、なんというか、よかったねぇ、と言いたくなりました(笑)
良かったね冬芽、ウテナのホントの王子さまになれて。
■ で、そんな冬芽との別れのシーンは、映画版でも とても美しく描かれていたのですが、漫画の方はさらにせつなくて泣けました。
映画では冬芽の死をウテナが知ることでふたりの別れが訪れるのですが、漫画では冬芽の死を知ったあとで、それでもここ(学園世界)にいれば冬芽といっしょにいられるってことで、一旦受け入れてしまうんですよねえぇ。そうして、しばらく幸せな時間を過ごした上で、どうしても別れなくてはならない状況が訪れてしまうから、もーうせつないせつない。
ベタといえばベタですが、こういう少女マンガ的な盛り上げ方には結構よわくて…
せつない、せつない別れでした(TДT)
■そうして訪れる、ラストシーン。わたくし、どっちかというとこっちの漫画版の方が好きです。
映画版の方が見終わったあとのカタルシスは大きいとは思うのですが、
いかんせん、ウテナとアンシーのちゅーが(←結構ネックらしいです)
漫画の方では、(おそらくは)現実の世界で、(おそらくは)二人で助け合って生きているであろう様子がかいま見えて、良い感じでした。
■あと細かいことですが、中盤あたりのアンシーのセリフで、「私、言葉なんか信じない。体だけが嘘をつかない」っていうのがありまして。あれって、映画版のエンディングテーマ(ミッチーの歌)の、「言葉よりも確かなもの/体よりも曖昧なもの」って歌詞になぞらえてるのかな?って思ったのですが。違うかな? もしそうだとしたら、なかなかグッとくるセリフ回しだなあ、と思ったのでした。
2022/6/12追記:新装版では6巻に収録されてるそうですよ